投資信託 通貨選択型のリスク(7)

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投資信託、通貨選択型のリスクは非常に高いため、投資の際は注意が必要です。外国通貨から外国通貨への両替の場合、デリバティブを用いて巨額の手数料を支払っていることを、投資家が全く気付かない場合が多いのではないでしょうか。


(1)投資信託と為替デリバティブ取引の活用

前回、投資信託のコスト(6)について見ましたが、投資信託 通貨選択型のリスクについて、2013年3月13日の日経新聞15面を見てみましょう。
先物などデリバティブ(金融派生商品)取引を活用するタイプが増え、投資信託の運用戦略が多様になっている。ここ数年急速に普及したのが「通貨選択型」と呼ばれる投信だ。株式や債券などで運用しながら、為替デリバティブを通して高金利通貨に投資し為替差益や金利収入も狙う。
投資信託の通貨選択型のリスクは、為替デリバティブ取引を活用していることです。為替デリバティブ取引を活用しているということは、金融商品を設計した時点で、為替手数料の鞘抜きを行いますので、期待値で考えると損をする可能性が高まります

投資信託で、為替デリバティブを活用した商品が、今後どれだけでてくるのかは分かりませんが、デリバティブ関連のあらゆる金融商品は、手数料の鞘抜きを行います。

(2)高金利通貨とハイリスク

こうした仕組みの草分け的な存在のひとつで、約4年前に設定した投信「野村日本ブランド株投資(通貨選択型)」。日本の主力株に投資するファンドで、投資家は購入するときに、オーストラリアドルやブラジルレアルなど通貨別のコースを選べる。日本株での運用収益に加え、外貨投資と同じように為替差益などを狙える。半面、円高になると為替差損が出るリスクを負う。
投資信託の通貨選択型に、野村アセットマネジメントの野村日本ブランド株投資が紹介されていますので、冒頭の画像を見てみましょう。野村アセットマネジメントのホームページに、ブラジルレアル型が掲載されていますので見てみましょう。

(3)野村日本ブランド株投資ブラジルレアル型の失敗

野村日本ブランド株投資は、投資信託の分配金を考慮すると、投資信託の元本は割れていないようにみえます。投資信託リスク(5)でまとめましたが、投資信託の分配金を再投資しているのかどうかで、投資成績は変化します。

野村日本ブランド株投資ブラジルレアル型は、投資運用会社が分配金を元本に充当して複利運用している前提で掲載されていますが、大きく低迷しています。

(4)日本株の低迷と為替レートの円高

日本株に投資するだけの円コースと、レアルコースの設定来の基準価格の上昇率(分配金再投資)をみると、レアルコースは2月末時点で4割強と、円コースの約2倍。昨年暮れからの円高修正が影響している。
投資信託が大きく低迷している理由は、野村アセットマネジメントの運用担当者の責任というよりも市場環境が悪化していたことがあります。
  1. 日本株の低迷
  2. 為替レートの円高レアル安
投資信託の動向は、日経新聞の説明を見ると大きく上昇しているように思えますが、野村アセットマネジメントの運用成績は見ると、参考にならないことが分かりますね。

投資信託基準価格(2)を見ると、グローバル・ソブリンの運用成績も低迷しており、分配金を複利計算しなければ一層、悪化していることが分かります。

(5)通貨選択型のリスク

市場推計では、通貨選択型の純資産残高は2月末で約11兆円と、株式投信全体の約2割。最近は米ドル建ての海外債券で運用しながら、通貨ではレアルや豪ドルの為替リスクをとるタイプが人気だ。
投資信託の通貨選択型に人気が集中しているようですが、金融商品は投資家が分かりにくいものほど商品設計により、鞘抜きが行いやすいと言えます。
  1. 通貨選択型の投資信託 米ドル建て債券で運用 レアルや豪ドルの為替リスク
  2. 外国国債 豪ドルの国債のほうがシンプル
投資信託の通貨選択型を見ると、米ドル建ての海外債券が何であるのかはよく分かりませんが、期待値で考えると豪ドルの国債のほうが有利な可能性があります。

※レアルや豪ドルは、米ドルと比較すると為替の変動が大きいため、リスクが高くなります。

(6)海外債券運用の投資信託と海外国債のリスクを比較

投資信託の通貨選択型に人気があるようですが、海外国債のリスクを比較してみましょう。投資信託のコスト(6)を考えると、オーストラリア国債のほうが格付けが高くシンプルであり信託報酬も不要ですので、投資運用を考えると有利になります。
  1. 通貨選択型の投資信託
  2. 米ドル債券のデフォルトリスク
  3. 米ドルから豪ドルへの両替手数料 デリバティブで多額の鞘抜きの可能性
  4. 円と豪ドルの通貨変動リスク
  5. 信託報酬などの手数料
通貨選択型の投資リスクを考えると、オーストラリア国債は格付けが高いですし、オーストラリア国債を購入した場合はデリバティブの手数料や信託報酬が不要でシンプルとなっています。

通貨選択型の投資信託とオーストラリア国債を比較すると、必ずとは言い切れないですが、金融会社の手数料鞘抜きの場面が少なくなりますので、オーストラリア国債のほうが運用に有利な可能性が高くなります

(7)投資信託の為替リスクと両替手数料

投資家は、投信が組み入れる株式などの価格変動リスクだけでなく、為替リスクも考えて投信を選ぶ必要がある。初心者にとってはやや複雑な内容の商品だ。
投資信託の通貨選択型のリスクは、投資信託の投資商品のリスクに加えて、為替リスクと両替手数料を負う事になります。

投資信託など金融商品で資産形成を行う場合、金融会社の手数料が極力少なく、可能な限りシンプルで、ブラックボックスのない金融商品がよいと考えます。ETF投資信託の違い(8)に続く。
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