(1)ETF市場の拡大
ETFは、国内や海外の成長市場を投資家が取り込むことで、資産形成に大きなメリットがあります。ETFの世界市場は拡大していますが、日本のETF市場は拡大が限定的であったため、世界と市場規模に大きな差が生まれています。日本の機関投資家は、保険会社や銀行の存在が有力ですが、地方銀行が銀行預金の運用を積極的に投資しようとしているので見てみましょう。
(2)地方銀行が株式やETFの運用拡大
地方銀行ETFを資金運用に活用する動きがあることについて、2013年5月2日の日本経済新聞3面が報じているので見てみましょう。
八十二銀行は日銀による「異次元緩和」を受け、有価証券の運用方針を転換する。リーマン・ショック以降積み増してきた国債の残高を今年度上期は横ばいに抑え、代わりに国内株や上場投資信託(ETF)などへの投資を増やす。将来の金利上昇もにらみ、資産構成の見直しに踏み出す。地方銀行は預金の資金運用を、日本国債購入で行ってきましたが、投資先を変更する動きがでてきます。八十二銀行や横浜銀行の動向について、銀行 国債売却とREIT購入で見ていきましたが、リーマンショック後の資金運用先に変化がでています。
(3)八十二銀行の国債残高
八十二銀が保有する利付国債の残高は3月末で1兆円弱(取得原価ベース)となったもよう。2008年のリーマン・ショック以降の資金需要低迷と株価の下落により、資金の振り向け先として積み増してきたが、方針を転換して2013年度上期は横ばいに保つ。八十二銀行は、国債購入の方針を変更するようですが、投資先にETFやREITが浮上しています。ETF REITの違いを見ると、どういった銘柄を投資運用先として選定するのか気になりますね。
(4)八十二銀行の投資運用とETF
一方で国内の株式やETFなどへの投資を増やす。これらの3月末の残高は約1100億円(取得原価ベース)あまりだが、株価が上昇しているため利益を確保できるとして、積極的に投資する方針だ。
非上場の不動産投資信託(REIT)についても、利回りが安定しており収益が期待できることから残高を増やす。米国債やドイツ国債は前期は増やしたが、今期は金利の動向を見て判断する。地方銀行の中には、銀行預金の運用に株式やETFを組み入れることで、運用成績の向上を狙っているところがあるようですね。ETFだけでなく、非上場のREITにも投資しており、金利の高い外国債券と運用先として比較対象となっています。
(5)投資資金を国債からETFにシフトの理由
八十二銀の国債を中心とした円建て債券の平均残存期間は3月末で4.1年。利益を確保するためにここ1年ほどは少しずつ残存期間を延ばしてきたが、このところの利回り低下で利益が出にくくなっていた。地方銀行が銀行預金の運用先を、国債からシフトしている理由は、より長期の国債を購入しても利益がでにくくなったようですね。
ETFのメリットは、日経平均株価などの指数に連動しますので、長期の資金運用に地方銀行も注目していることが分かります。
(6)国債の金利上昇リスク
加えて、日銀が物価上昇目標を掲げたことから、将来の金利上昇リスクが出てきたと判断。「国債中心の運用は変えない方針」としながらも、国債価格の下落リスクに備え投資先を分散する。日銀の金融緩和により、長期金利の上昇リスクが指摘されていますが、既に流通している国債は金利が低い場合、国債価格が下落します。
- 短期の債券 投資期間が短期のため金利が低い 長期金利の影響が少ない
- 長期の債券 投資期間が短期のため金利が低い 長期金利の影響が大きい
(7)銀行の資金運用方針
資金需要の低迷により地域金融機関は余った資金を国債に振り向けてきたが、市場環境の変化から投資方針の再考を迫られている。6月に頭取に就任する予定の湯本昭一常務は運用畑出身で、八十二銀の運用方針は変わる可能性もある。日本は、ETFランキング世界市場推移を見るとETF市場の拡大に乗り遅れていることが分かります。地方銀行が、投資のリスクを意識しながら利益を享受することができるのか注目ですね。 スポンサードリンク
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